富山和彦(2014)『なぜローカル経済から日本は甦るのか』PHP研究所

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ローカル経済圏は基本的には非製造業が中心で、本質的に「コト」の価値(観るコト、運ぶコト、治すコト、泊まるコト・・・・・・)を顧客に提供しており、どちかというと分散的な経済構造を持つ世界だ。
具体的には、先ほど説明したように鉄道・バス・タクシーなどの公共交通、物流業、飲食業や小売業、ホテルや旅館などの宿泊施設、医療・介護などの社会福祉施設、それに教育などが挙げられる。基本的に対面でサービスが行われ、生産と同時にその場で消費される同時性・同場性のある経済圏である。
ローカル経済圏の産業は、GDPや雇用のおよそ7割を占める。(中略)多頻度で購入する日用品や食料品などでは、特定の利用者にとっては、店のとっちがその人の生活動線から通り1本外れただけで選択肢ではなくなる。
地域やそこで生活する顧客との密着度合いが経済効率を決めるので、下手にグローバルに拡大・拡散するより、地域における密度を高める努力をしたほうが経済的に儲かる。裏返して言えば、経済の不経済性に陥りやすい産業領域とも言える。したがっていったん地域ドミナントをつくり上げると、競争上、ディフェンスには強い。世の中の人は、グローバル企業に代表される規模の経済性を常に課題評価する傾向があるが、現実のビジネスの世界ではほとんどの産業で密度の経済性が効く。
密度の経済性が効くローカル経済圏では、グローバル経済圏の産業領域は、対面でサービスを提供するので、本質的には労働集約的になる。
49-50頁。

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