新刊紹介:平川 均・石川 幸一・山本 博史・矢野 修一・小原 篤次・小林 尚朗編『新・アジア経済論 中国とアジア・コンセンサスの模索』文眞堂

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アジア経済に関して各国経済のとりまとめではなく、アジア全体を分析・俯瞰したいという姿勢で、大学や大学院での演習や授業のテキストとなる専門書を刊行してきました。
拡大する中国経済を、北京コンセンサス・チャイナ・アズ・ナンバーワンでもなく、G2・米中でもなく、アジア・コンセンサスという視点を提供しました。
過去3冊で累計1万部以上、アジア経済論などのテキストのほか、実務家の方にご愛読いただき、深く感謝いたします。

新刊『新・アジア経済論-中国とアジア・コンセンサスの模索』は3月中旬から書店に並び始めます。過去の刊行物・研究会の変遷をとりまとめました。

最初の成果は、平川均・石川幸一編『新・東アジア経済論―グローバル化と模索する東アジア』ミネルヴァ書房、2001年4月30日発行、2003年5月30日改訂版発行。
そして大幅な改定を加えて、平川均・石川幸一・小原篤次・小林尚朗編『東アジアのグローバル化と地域統合-新・東アジア経済論III』ミネルヴァ書房、2007年5月30日発行。

ともに執筆者数は18人と変わりませんが、379ページから404ページに増えました(索引や執筆者紹介を含む)。

3冊目は、平川均・小林尚朗・森元晶文編『東アジア地域協力の共同設計』西田書店、2009年10月15日発行です。


明治大学軍縮平和研究所が2004年10月に設立され、2005年4月に活動開始しました。共同研究プロジェクトのひとつとして、「東アジアの地域協力」プロジェクト(研究統括責任者 平川均先生)が2005年10月に承認されて、実質的には2006年4月から活動を本格化させました(2006年度~2008年度。3年間)。

4冊目となる新刊が、平川 均・石川 幸一・山本 博史・矢野 修一・小原 篤次・小林 尚朗編『新・アジア経済論-中国とアジア・コンセンサスの模索』文眞堂です。

1999年3月に、10名ほどのメンバー集まり、始まった「新アジア研究会」の流れをくみ、「アジア・コンセンサス研究会」として議論を続けてきた成果です。アジア・コンセンサス研究会は、東日本大震災が起きた直後の2011年5月5日に5名ほどで準備会合を開き、2011年7月9日に第1回の研究会(山本博史先生「民主化動乱とタクシン派」)が開催されました。2014年度から2015年度まで、明治大学国際総合研究所(MIGA)の東アジア地域協力プロジェクト「中国の勃興が与えるアジア諸国の変貌を日本との関係で考える」になったのは2014年度(2014年度~2015年度)からです。1999年はアジア通貨危機後、しかも世界ではG20の設立、世界貿易機関(WTO)加盟に関する米中合意のほか、日本の主要産業である自動車メーカーがグローバル化へのシフトが明確になっていました。日産自動車がフランスルノー傘下で再建をはじめ、トヨタ自動車は年初に、BRグローバル人事室を立ち上げています。

明治大学国際総合研究所(MIGA)の東アジア地域協力プロジェクトは、2016年度~2017年度も継続していきます。

[注記]編著者の見解ではなく、筆者個人の見解で、出版物の実績と研究会の変遷を備忘録としてとりまとめました。小林尚朗先生には備忘録作成に協力をいただきました。


著書  『新・アジア経済論-中国とアジア・コンセンサスの模索』
著者 平川均・石川幸一・山本博史・矢野修一・小原篤次・小林尚朗編著
発行 文眞堂
発行年月 2016/2/29
価格 定価(本体2,800円+税 )
内容
驚異的な経済成長に伴い、人民元の国際化から軍事費の増大、一帯一路戦略、AIIBなど、世界は中国の拡大や膨張に関心を高めています。本書は、中国経済が台頭した中で、東アジアにおけるグローバリズムの現状を踏まえながら、「ワシントン・コンセンサス」でも「北京コンセンサス」でもない、「アジア・コンセンサス」ともいえる新たな開発協力モデルを提示することを目的としました。中国がこれから世界有数の経済大国化するとき、東アジアが世界経済の中でどのような位置づけにあるのか、中国の膨張と調整をどのようにとらえればよいのか、どのような地域協力体制を構築していくべきなのかと、3部に分けて分析しました。

目次
第Ⅰ部 グローバル化するアジアと世界経済
第1章 アジア経済の変貌と新たな課題 ―アジアコンセンサスを求めて―(平川 均)
第2章 アジアの生産ネットワークと地域統合 ―電機電子産業の事例から―(春日尚雄)
第3章 アジアの地域統合の進展と展望(石川幸一)
第4章 オフショアリングとアジア経済 ―世界経済のサービス化―(森本晶文)
第5章 老いるアジアと国際労働力移動(吉川愛子)
第6章 アジアにおけるイスラム消費市場(武井 泉)

第Ⅱ部 膨脹する中国とアジア
第7章 中国の経済成長 ―党主導型開発は格差を解消するか?―(小原篤次)
第8章 中国の膨張を支える対外戦略(朱 永浩)
第9章 中国の勃興とエネルギーを巡る諸問題(藤森浩樹)
第10章 政治経済面で中国に接近する韓国(大津健登)
第11章 政治経済学からみた中国とASEAN関係(山本博史)
第12章 対立と協調のインドと中国(深澤光樹)
第13章 アジアの国際交通インフラの開発と物流((町田一兵)

第Ⅲ部 アジア・コンセンサスの模索
第14章 新自由主義批判とアジア・コンセンサスのエチュード(矢野修一)
終章 アジアの新たな開発協力モデル ―「ワシントン・コンセンサス」と「北京コンセンサス」から「アジア・コンセンサス」へ―(小林尚朗)

早瀬晋三氏(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授)のKINOKUNIYA書評空間

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