中国、ウルトラ成長期の終焉-朝日新聞への寄稿

中国の2012年第2四半期(4~6月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比7.6%になった。中国のGDP成長率は6四半期連続で鈍化しており、2009年第1四半期(1~3月)以来3年ぶりの低水準で、中国の成長に期待する先進国からも、懸念する声が高まっている。年間の成長率が1999年(7.6%)以来の低水準になる可能性もある。

世界金融危機から4年が経過しようとしている。中国にとっては北京五輪や四川大震災から4年が経過した。欧州は債務危機を抱え、

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楽天、三木谷CEO、英語公用語化宣言の背景 長崎県立大学国際情報学部 小原篤次

日本にいたら、英語力はなかなか伸びない。
英語をはじめ外国語が趣味の領域を越えられないと感じている人は少なくない。
やはり外国語を使用する機会が少ないためである。

社費留学させても帰国後、必ずしも海外経験が活かされなかった。
TOEICを自己研鑽しても、国内本社との距離が昇進を決めるのでは、社員のモチベーションにならない。

楽天の三木谷浩史さんは、このことを良く分かっていたのだろう。
やや強引にでも英語を使う環境に変えてあげないと、社員の英語は伸びない。
そして海外売上の増加どころではなくなる。

楽天は、ネットワーク外部性が働きやすい電子商取引。
海外進出を掲げず、日本一に安住していると、アマゾンやアップルなど海外企業に飲み込まれることもありえないシナリオではない。

日本では、なかなか環太平洋経済連携協定(TPP)や国際金融センター構想の議論が続かない。
政治家&メディアの関心が続かないのは、国民の関心が低いことと表裏の関係にある。

マクロ指標で言えば、経済規模(名目GDP)に比べて国際取引が相対的に小さいことでかなり説明できる。

輸出依存度=輸出のGDP比(%、2010年)
米国8.7、日本14.1、英国18.3、ドイツ38.5、韓国46.0、シンガポール157.7、香港173.8
http://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/09.pdf
対外銀行ローンのGDP比(%、2011年)
韓国8.7、日本20.5、米国23.2、ドイツ48.0、英国198.6、香港272.4、シンガポール304.4

白熱教室@佐賀県武雄高等学校 長崎県立大学国際情報学部 小原篤次

7月12日、佐賀県立武雄高等学校「職業・学問学習会」に講師の一人として参加しました。
50分授業を2回、出席者は88名でした。質問多数で、白熱教室でした。
控え室まで来ていただいた学生もいらっしゃいました。
大変、お世話になりました。

講義要旨
日本がアジアで唯一、豊かな時代は終わりました。
一人当たりGDPでみると、日本はシンガポール、香港に抜かれ、韓国、台湾にも抜かれる見通しです。
マレーシアや中国とも縮まっています。
でも、日本とアジアの格差が縮まったことは、継続的に交流する上で決してマイナスとは考えていません。

米国の大学生はアジアでは中国を留学先に選びます。中国は5位の留学先で日本は10位にも入りません。
日本への留学生も、中国、韓国が中心です。
残念ながら、米国や欧州からの留学生は多くない。これも事実です。

トヨタ自動車、ブリヂストン、ソニーなど海外売上が高い企業は毎日がオリンピックです。

英語を使える仕事で客室乗務員をイメージされると思います。
しかし、国際線があっても、全日本空輸(ANA)はむしろ、海外売上高比率は低い。

トヨタ自動車などの企業は、アウェーの海外で競争しています。
このため、日本人に拘らず、留学生や海外で人材を積極的に採用しています。
本当に日本人が必要なのかの議論が、日本企業で始まっています。

質疑関連
・東京大学の秋入学について
日本への評価、関心が低下する中、東京大学も世界やアジアでのランキングを意識しています。
日本最高で最大の国立大学が変わることは簡単ではないと思います。
ただし、留学生を獲得する戦略なら、春か秋の議論ではなく、春と秋入学にしたい。
早稲田のような私学から、春、秋、そして夏入学を考える大学も出てくるでしょう。
高校も含めて留学生獲得の競争が始まっています。

・英語は勉強すべきなのか
英語力が低いのは、長年の日本人の課題です。
日本市場が縮小し、企業の競争力も低下したことで、必要性が高まってきたわけです。

べき論ではないでしょう。英語の必要性が高まっています。
英語が好きで勉強を続け、英語を使う人がいます。
そして、いま、英語が苦手でも、社会に出たら、英語を勉強する人がいるでしょう。
さらに、英語プラス中国語、英語プラス韓国語というニーズがあり、若い世代に求められてきます。

・海外留学後について
できるなら、1年以上の海外留学にチャレンジしていただきたい。
語学力、精神面も鍛えられます。海外の良い面だけではなく、悪い面にも気づくはずです。
そのことで、日本の長所と欠点を実感することでしょう。

・日本の競争力はなくなるのか
すべて日本が勝てないとは思っていません。
そのためにも、若者は一度は、海外に出かけて欲しい。

7/16には、本学部でもオープンキャンパスです。もちろん、私も出席します。
http://sun.ac.jp/examination/event/open/