久保田章市(2013)『二代目が潰す会社、伸ばす会社』日本経済新聞出版社

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久保田章市(2013)『二代目が潰す会社、伸ばす会社』日本経済新聞出版社
2013年8月25日付の日経ヴェリタスで、島谷英明さんが書評に取り上げている。さっそく注文してみた。楽しみに待つことにする。

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都立小中高一貫教育校で東大合格者が増えるのか

まずは、現在、都立中高一貫(現在、10校)のうち、都立武蔵をモデルスクールとして、小中高一環(4-4-4制)にする方針だ。平成29(2017)年度の開校も明記されるなど具体的な提案だ。

大学進学との関係では、理系重視を明確に打ち出している。
都教育委員会の検討委員会の中間報告は明確には言及していないが、理系重視ならば、教育や研究環境を考えれば、国公立大学を思考していることは明らかだ。そして最終的には、灘、開成、桜蔭、麻布など私学が大きな割合を占める東京大学への進学に食い込めるのかどうか、そんな実質的な期待がされるのだろう。

現行の小学校を4年までと、思春期に入る小学5年生以降を分ける。成長が異なるこのタイミング、そして社会性も受け入れられるこの時期以降を、鍛えていこうという狙いがうかがえる。

<都立小中高一貫教育校の教育方針>
○ 科学で社会をけん引する人間を育てる
○ 思考力、判断力、表現力を鍛え、世界で活躍する力を育てる
○ 優れた資質や能力を最大限に伸ばす
○ 我が国の歴史や文化を尊重し、主体的に社会の形成に参画する態度を養う

都立小中高一貫教育校の教育課程
<教育課程の基本方針>
現在の児童・生徒の発達段階を踏まえた系統的・継続的な教育課程を、4年ごとのまとまりで編成する
○ 基礎期(小学校第1学年~小学校第4学年)
学習の素地となる体験活動を重視するとともに、基礎・基本の習熟の徹底を図る時期
○ 拡充期(小学校第5学年~中学校第2学年)
体験活動と発想を相互に関連させて考えを組み立て、理解を深めるとともに、幅広く発展的な学習を行う時期
○ 発展期(中学校第3学年~高等学校第3学年)
これまでの学習や体験活動を基に自らの進路を見据えるとともに、進路選択に向けた深く専門的な学習を行う時期

<教育課程編成の基本的な考え方>
○ 理数系教科等を重視する
○ 自ら考え、判断し、表現する活動を十分に取り入れる
○ 発達段階や学習状況に応じた学習方法や体験活動を取り入れる
○ 伝統・文化に触れたり、地域に関わったりする活動を取り入れる

<育成すべき生徒像>
理数分野における優れた資質や能力を高め、将来、我が国の科学技術の発展をけん引するとともに、世界に貢献し得る人間

参考文献
都立小中高一貫教育校基本構想検討委員会中間まとめ
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2013/08/DATA/40n8m101.pdf

バイオマス・エネルギーの啓蒙書『里山資本主義』

藻谷浩介・NHK広島取材班『里山資本主義』角川書店を読んだ。著名地域振興コンサルタントとNHKの強力コラボ。「マネー資本主義」の取材チームが、広島放送局に転勤、中国地方の山間部で、木材パレット、バイオマス発電など里山の生活に出会ったことが、番組や執筆のきっかけだった。

1990年代後半から2000年前半にかけて、木材のほか、畜産の糞尿などでバイオマス・エネルギー活用が始まった。原油価格の高騰などで、エネルギーを取り巻く環境が激変している。政府も2002(平成14)年3月31日、バイオマス・ニッポン総合戦略を閣議決定し、バイオマスタウン構想(318地区)、補助金などが始まる。

建設や廃炉で巨額の資本投下が必要な原子力発電は、里山資本主義の対極なのかもしれない。福島第一原発事故、そして日本のバイオマス戦略の閣議決定から10年が過ぎ、バイオマス・エネルギーの意義を改めて啓蒙するうえで、この著書の刊行は誠に時機を得ている。「失敗事例は少なくない」(齋藤 2008)との指摘もある。だが、各地域によって共通性とともに固有性がある。それでこそ「里山」なのだろう。

参考文献
農林水産省「バイオマス・ニッポン」
http://www.maff.go.jp/j/biomass/index.html
日本有機資源協会「バイオマス構想DB」
http://www.jora.jp/biomasstown_DB/index.html
齋藤修(2009)「自然再生事業とバイオマス利用事業の失敗事例の収集と要因解析」『早稲田大学高等研究所紀要』
http://hdl.handle.net/2065/39431

和田伸一郎(2013)『国家とインターネット』講談社

国際関係論やメディア論あたりのブック・レポート指定図書になるのか。タイトルから、そんな候補として期待し、取り寄せた。解説書や研究書というより、むしろ各章が月刊雑誌、論壇の言説のように読める。提示された論点は刺激的で、参考文献は有益である。